そばの魅力
そばは不思議な食べものです。おそらく日本人が農耕という文化を手中にしてからそばの栽培が起源されたと思うが、以来、特に江戸時代より今のそば(線状のそば切り)になってから日本人に好まれ惹きつけてきました。その間いろいろと食の傾向は変わってきたが、そばは形態をあまり変えず魅了しつづけて放さない。
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どうしてだろう?そばは旨い食べものだから・・・しかし、一言に味の特徴やおいしさの仕組みを言い表すことができないのがそばでもある。
そば匠、友蕎子片倉康雄先生はこのことを明確に述べられている。
感触の遊び
麺類は全般的にそのものの味よりも唇に触れた時の感じ、歯ざわり、のみ込む時の感じの方が強く印象に残る食べ物である。
殆んどの食べ物が良くかみ砕いて食べるのに対し、麺類は一般にろくにかまずにすすり込む食べ物です。この違いに一種遊びの要素がある。唇や歯に触れた時の感じ、舌の上に乗せた感じ、のどを落ちていく時の感じが強い印象に刻み込まれる。
そばは口あたりに一種ざらつく様なところと、つるつるっと音を立ててすすり込む楽しみがある。ざらつくような感じを残しながらすべるという不思議な感触がそばの味わいに大切な役割を果たしている。「口の中のぬめりや汚れをこそぎ落としてくれるような爽快感」このすがすがしさこそがそば独特のものである。同じ麺類でも、うどん、ひや麦、そうめん等はつるつる、すべすべ、しこしこといった弾力のある歯ごたえや、舌の上でのなめらかな印象の方が強い。又のど越しを楽しんでいるひや麦やそうめんは冷たさの快さは味わえてものどに残す印象はあっけない。この違いこそがそば好きにはこたえられないのである。
噛まなくてもわかるそばの甘味
そばの食べ方は人それぞれでこうして食べなければならないということなど少しもないのだが、汁のからんだ味と合わせてそばの味風味双方を感じとって頂きたいと思う。
そばのおいしい食べ方・・・もり、ざるは箸で数本をつまみ、そばの端を少し汁につけ、すぐに引き上げてすすり込む。又薬味にわさびは汁に溶いてしまわず、そばの合い間に微量を舌先にのせ、口なおしとして使う。
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このようにして食べるとそばそのものの味と汁のからんだ味と合わせてそばの味、風味双方を楽しむことができる。その結果そばは意外なほど甘味があることに気付く筈である。
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